2009年09月29日

富士フイルムと国立がんセンター東病院、大腸がん患部を高精度撮影

 富士フイルムは国立がんセンター東病院(千葉県柏市)と共同で、高精度で大腸がんの患部を3次元撮影する技術を開発した。内視鏡で取り出した患部の内部を、近赤外線を使って細胞レベルの高精細画像に映し出して調べられる。患部の一部を切断する従来手法に比べて見落としが防げ、病気の進行状況が詳細に分かる。内視鏡検査用の診断・撮影装置として開発を進め、2013年の実用化をめざす。

 厚さ数ミリにわたり患部の内部を撮影する。画像のきめ細かさは約20マイクロ(マイクロは100万分の1)と1個の細胞が映し出せる水準で、画像を見てがん細胞の有無やがん細胞の増殖の様子を確認する。
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2009年09月28日

がん、幹細胞狙い再発防ぐ

 「がん幹細胞」と呼ぶ細胞の研究で成果が相次いでいる。国立がんセンターと協和発酵キリンは白血病のがん幹細胞の構造を解明し、マウスの実験ではこの細胞を特殊な化合物で死滅させることに成功した。東京医科歯科大学も胃がんのがん幹細胞を見つけた。がん幹細胞はがんを引き起こす元凶と考えられ、研究成果はいずれもがんの根治薬の開発につながりそうだ。
 国立がんセンター研究所の北林部長らが発見し構造を解明したのは急性骨髄性白血病のがん幹細胞。急性骨髄性白血病は治療しても再発する場合がある。
 研究チームはこのがん幹細胞を白血病のマウスから取り除き、がん細胞も死滅させることに成功した。がん幹細胞を標的とした治療で一定の効果が確認できたのは初めてという。
 このがん幹細胞は表面に「M-CSFR」というたんぱく質がある。正常なマウスでも、このたんぱく質ができた細胞が体内で増えたマウスはすべて白血病になった。
 研究チームは協和発酵キリンが開発したM-CSFRの働きを防げる化合物を白血病のマウスに注射した。がん幹細胞が死滅した結果、がん細胞もなくなった。治療に使われている抗がん剤を与えたマウスに比べ生存期間は3倍に延びた。
 国立がんセンターの北林部長は「がん幹細胞をたたくことで再発を防ぎ根治につながる」とみている。今後、化合物を改良して治療薬の実現を目指す。
 東京医科歯科大学の深町講師らは、胃がんにもがん幹細胞がることを確認した。患者から採取した腫瘍の一部を免疫機能のほとんどないマウスに移植。マウスにできた腫瘍を取り出し分析した。構造の解明を急ぐ。
 横浜市立大学の谷口教授らは大腸がんのがん幹細胞と考えられる細胞の特徴の研究で成果を上げた。すでに分かっている細胞の目印(たんぱく質)のほかに、正常な腸の上皮細胞の表面にあるたんぱく質も多いことを突き止めた。研究チームは「正常な幹細胞からがん幹細胞が生まれる」とみており、新しい治療法につなげるため、がん幹細胞の働きを抑える方法の検討を始めた。
 成果はいずれも10月1日から横浜市で始まる日本癌学会学術総会で発表する。
2009年9月28日 日本経済新聞
ラベル:幹細胞 がん治療
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2009年09月02日

がんに挑む放射線治療---医療チームの意思疎通をITが支える

日本人の死因の第一位は1981年以来現在、悪性新生物(がん)である。その治療方法の一つが、放射線治療だ。放射線によって、がん細胞の働きを殺し、成長と分裂を阻止する。放射線治療では、医師や看護師のほか放射線治療技師らがチームを組んで患者と向き合っていく。緻密な治療計画管理やチームメンバー間の情報共有を支える仕組みとして、ITの利用が進んでいる。

 放射線治療は、病巣を切除する方法と異なり、組織を残せるため、乳がんや膀胱がんなどでは抗がん剤と組み合わせる温存療法として選ばれている。治療においては、放射線を照射する回数や部位を正確に管理しなければならない。放射線は、継続的に照射することで効果を発揮するからだ。しかし、同じ部位に照射し続けると、副作用が現れることもある。例えば肺がんの治療で、脊椎に悪影響が出るなどだ。

 一般に放射線治療は、(1)治療方針の決定、(2)治療準備、(3)治療、(4)フォローアップ、といった流れで進む。医師が事前の検査などで医療方針を決定し、患者に治療方針を説明し、同意を得る。その後、放射線治療の計画・照射スケジュールを作成したり、正確に病巣に照射するための固定具を作成したりする。治療では複数回の照射の合間に診察し、経過を観察する。治療完了後は、再発がないかをフォローアップする。

■患者の容体などで計画は常に変わる
 しかし、照射計画が緻密なだけに、それを守るのは難しい。例えば、外来患者の場合、「急に都合が悪くなって病院に行けない」ことがあるし、入院患者の場合には「体調が悪くなって治療を受けられない」といったことが起こる。こうしたことが起こるたびに、照射計画は見直さなければならない。変更した計画は、治療にあたる医師や、看護師、実際に放射線を照射する放射線治療技師らで構成するチームの全員が把握しておく必要がある。

 情報伝達・共有の徹底は、放射線治療においては、重要な業務の一つである。元々、診察や治療方針の決定は医師、放射線の照射は専門技師と、その業務が分かれているほか、婦人科や泌尿器科といった各診療科の診察室と放射線治療室は物理的に離れた場所にあるのが一般的である。「固定具を作成しました」「照射を明日に延期します」「予定通りに治療を始めます」といったやり取りは、治療期間中に何度も発生する。にもかかわらず、情報共有手段としては今も、手書きのメモが利用されている。メモの回覧が滞ると、情報が正しく伝わらないというリスクを抱えているわけだ。

■チームのコミュニケーション支援が重要に
 もちろん、放射線治療のための情報システムは構築されている。各診療科の医師が作成した電子カルテを基に、放射線治療の専門医らが、どのように治療を進めていくかの計画を立てたり、治療計画の進捗を管理したりするための仕組みである。このシステム上で、「何日間でどれだけ照射する」といった初期計画がどこまで進んでいるのか、照射を中止により最新の治療スケジュールがどう変更されたのか、などを医療チームの全メンバーが把握する。

 ただ、多くの放射線治療向けの情報システムは、上記のような進捗管理機能が中心である。1990年台前半から放射線治療向けシステムを開発・販売しているAJS(東京都墨田区)によれば、「今後は、医師や技師、看護師らが患者情報を共有するための、コミュニケーション機能が不可欠になるだろう」(関口信一医療システム部担当部長)という。AJSは、旭化成の情報システム子会社として発足し、現在はITホールディングスグループ傘下にある。

 AJSが、放射線治療向けシステム「Dr.View/RTiS」に搭載したコミュニケーション機能では、診療チームの書き込んだコメントを、時系列に沿って一覧表示できるようになった。例えば、7月15日に放射線を照射予定の患者がいる場合、技師が「準備完了」と書き込めば、医師と看護師はそれを画面上で確認できる。

■治療計画決定の経緯を蓄積
 情報のやり取りは口答でも可能だ。だが、院内の業務の合間に伝えたい相手を探して忘れずに伝えるのは簡単ではない。メモを使っても、上述したようなリスクが残る。これを、システム上でのやり取りに変えることで、伝え忘れや実施忘れが減らせることになる。加えて、どんなやり取りをしたかがシステム上に残るため、後から「どういうやり取りの結果、どんな決定をしたのか」が確認できる。

 繁忙な医師やチームメンバーが利用しやすいよう、UI(ユーザーインタフェース)にも工夫した。患者の顔写真を取り込んで画面上部に配置することで、取り違えを防いだり、画面左側にある治療フローにおいて完了したステップには「●」を表示することで、患者の治療計画の進行度合いを直感的に把握できるようにしたり、である。

 放射線治療自体が、ITの進歩による装置の高度化によって成り立っている。しかし、患者と直接に接する治療チームのメンバーのコミュニケーションを支え、治療現場の安全・信頼を高めているのもまたITである。
ラベル:がん治療
posted by ダンケルク at 22:54| Comment(0) | TrackBack(0) | がん治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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