2008年03月24日

電子契約法と民法の関係

 電子商取引においては、契約の成立時期がいつであるかを明らかにしておく必要があります。契約とは、2つ以上の意思表示の合致により成立する法律行為のことであり、通常、一方からの「申込み」の意思表示に対して他方の「承諾」の意思表示により成立します。
 日本国においては、これら意思表示は口頭でもよいことになっており、契約書を取り交わす意味は、合意の内容を後で確認するための証拠とするためであって、一定の場合を除き、契約の効力発生要件は意思表示が合致することです。ところで意思表示を合致させるためには、少なくとも双方の意思表示が互いに相手方に到達しなければなりません。
 民法においても意思表示の効力要件は、その意思表示が相手方に到達すること(到達主義)と定められています(民法第97条)。しかしながら、隔地者間の契約(申込みに対する応答が直ちになされる対話者間の契約を除く)については、申込みに対する承諾の通知が発信されたときに契約を成立させるというルール(発信主義)が採られています(民法第526条)。
 このルールによれば、一度承諾の通知が発信されてしまえば、仮に承諾の通知が途中で紛失するなどしてその通知が申込みをした人に到達しなくても契約は成立したことになります。この意図は、民法が立法された当時、隔地者間における承諾の通知が相手方に到達するまでにある程度の時間がかかるという技術的な制約を前提にした上で、できるだけ早い段階で契約を有効ならしめるという趣旨に基づくものです。
 この結果、承諾の通知が届かない場合のリスクは、申込みをした側が負担することになっていました。

 ところが、インターネットなどの電子的な方法を用いて承諾の通知を発する場合には、瞬時に相手方に意思表示が到達するため、発信主義を維持する上記前提を欠くものと考えられます。
 そこで電子契約法では、電子的な「承諾」の意思表示の通知に限っては、発信主義の例外を改め原則に戻って再び到達主義を採ることとし、契約成立時期を承諾の通知が申込者に到達した時点へと変更することにしました(電子契約法第4条)。

 到達主義が適用される電子契約を整理すると、『隔地者間の契約で、承諾の通知が電子的な方法で即時に伝達されるもの』となります。
 具体的には、電子メールやFAX、テレックス、留守番電話などを利用し承諾通知を行う電子契約が対象となります。消費者から注文等の申込みがあった場合、申込み承諾の通知を行い、かつそれが申込み者に届かなければ契約が成立しないので、事業者は前述のいずれかの方法により必ず承諾の通知を行う必要があります。

 ここで注意すべきは、「到達した」とはどのような状態を指すのかということですが、民法および電子契約法では承諾の通知の到達時点について特段の規定を設けておらず、具体的な到達時点については結局民法の解釈に委ねることになります。
 現行民法では、『到達とは、相手方が意思表示を了知し得べき客観的状態を生じたこと』と解釈されています。例えば、郵便物が郵便箱に入れられたり、同居人がこれを受領するなど意思表示を記載した書面が相手方の勢力範囲内に入ることとされています。
 電子承諾通知にこの考え方を適用すると、例えば、電子メールの場合には相手方が承諾通知にアクセス可能となった時点が到達の時点になると考えられ、具体的にはメールサーバ上の受信者メールボックスに承諾通知情報が記録された時点となります。
 ただし、メールサーバの障害など特別の事情があって契約の成立が争われた場合には、裁判官が状況に応じ個別に判断することになります。
posted by ダンケルク at 19:13| Comment(0) | TrackBack(0) | ネット通販の法律知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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