2019年10月08日

キャッシュレス・消費者還元事業について何がなんだか判らない方へ

2019年10月1日から、経済産業省主導でキャッシュレス・消費者還元事業が、また国税庁主導で軽減税率制度が開始されました。
しかし、両制度を混同し混乱されている方が多いようです。
それぞれの制度が複雑なので無理もありませんが、いずれも消費者の観点からは増税負担を和らげてくれるものであることには違いはありません。

それぞれ以下のような性質の違いがあります。

●キャッシュレス・消費者還元事業
 対象店でキャッシュレス決済をすれば2%、もしくは5%がポイントとして返ってくる制度。

●軽減税率制度
 対象となる品目の商品(酒類・外食を除く飲食料品と週2回以上発行される新聞)を購入すれば消費税が10%から8%になる制度。

2つの制度はそれぞれ監督官庁が異なるので統制が採れておらず、利用者に混乱を来しています。一回聞いただけではとても理解できませんが、お得になるのは確かなようで、これら2つの制度は複合させて実施することが可能です。
ほとんど理解できていない方が多いと思いますので、以下の記事をご覧ください。よく纏まっており理解の助けとなるでしょう。


posted by ダンケルク at 01:20| Comment(0) | 消費増税 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月21日

財政制度等審議会が提出した情けない忖度意見書(令和時代の財政の在り方に関する建議)

財務相の諮問機関・財政制度等審議会が6月19日に⿇⽣財務相に提出した意⾒書(令和時代の財政の在り方に関する建議)から、原案にあった「将来世代の年⾦の給付⽔準が想定より低くなる」などの部分が削除されていた。

既に6月6⽇には国の財政運営に関する意⾒書の原案が委員に⽰されおり、そこには「将来世代の年⾦給付⽔準が想定より低くなることが⾒込まれる」、また「⾃助努⼒を促していく観点も重要」と明記されていた。

しかし⿇⽣財務相に提出された最終意⾒書からは、これらの⽂⾔が削除されていた。財務省は削除した理由として、「削除したというより、審議の途中経過の話。今後の審議にも影響するので、財務省として途中経過を明らかにすることはできない」とコメントしている。

この背景として6月11日に⿇⽣財務相が⽼後2000万円必要とした⾦融審議会ワーキンググループの報告書受け取りを拒否しており、そのことが影響して審議会が意味のない忖度をした模様。

こんなことをしていては戦前の日本と同じで、本当のことを国民に隠し続け、後戻りできないところまで財政悪化して国を潰してしまう。審議会のメンバーは政府の独饅頭を食らった「でくの坊」ということか、まったく情けない限りである。
posted by ダンケルク at 00:57| Comment(0) | 老後生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月18日

公的年金は積み立て方式に変更すべき

「老後資金2000万円騒動」が話題になっているが、今さら何をという感がある。それよりも公的年金の公平性を確保することの方が先決である。少子高齢化により公的年金の原資が不足するのは明らかであり、また若者の年金離れを防ぐためにも、公的年金は積み立て方式にすべきである。これは即ち、自分の積み立てた分は老後に分割して貰えるということで、現行方式のように老若間で不公平がない。
実際、農業者年金は年金を支える若者が圧倒的に減り年金原資が不足、お年寄りを支えられなくなったため、積み立て方式に移行した。
積み立て方式に移行すれば、老若間の年金不公平問題が解消するし、今話題となっている「老後資金2000万円不足騒動」は元々全国民が判っていたことだから、老後資金不足に備え、若い時から老後資金不足に備えた準備がすんなりスタートが切れるのではないか。
posted by ダンケルク at 14:17| Comment(0) | 老後生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月29日

アベノミクス相場、株価はどこまで行くのか。

アベノミクス相場。株価はどこまで行くのか。そろそろ一旦休止ではないかとか、様々な意見があります。この点につき少しマクロ的に俯瞰してみたいと思います。

世界各国、名目GDPと株価には、長期的に見ると強い相関があることが分かっています。自由資本主義経済国であれば、企業が経済の重要な役割を果たしていることは明白であり、その企業群の代表選手である上場企業の時価総額の和が、その国の経済規模であるGDPと相関関係があることは、腑に落ちます。

例えばアメリカでは上場企業時価総額和はGDP120%ぐらいです。金融危機とか、色々な株価下落イベントが起きても、ねちっこく、或いはしなやかに、株価はGDPの120%水準まで戻してきます。そしてGDP(大切なのは名目GDPですが)が増え続けているので、株価は上昇し続けてきたのです。

日本の株価が去年まで低迷していた最大の理由は、名目GDPが全く成長しなかったからです。そして日本の上場企業時価総額和は、現在GDPの85%程度。悪い時で50%程度まで売られたことがあり、バブル期は逆に140%近くまで買われました。しかしこの10年間を見ると、ピークが第一次安倍内閣の頃(約6年前)で110%程度、大体平均65%辺りを低迷していました。

アメリカと日本の、株価のGDPに対する比率の違いの原因は、2つの要素が考えられます。ひとつはアメリカにはインフレ期待があり、日本にはデフレ期待があったこと。即ち近未来に於ける名目GDPの期待値が、アメリカではその時点より高く、日本では低かった訳です。株価は将来を見込むものなので、当然この
差が比率の差になります。

もうひとつは企業の生む富の、株式保有者(株主)に対する分配の高低の違い。企業はその生む富を、株主だけでなく、税金という形で社会に、給料という形で従業員に分配することが出来、或いは内部留保してしまうことも可能です。
同じ企業でも株主分配率が高ければ株価・時価総額は高くなりがちでしょうから、国全体の株主分配率の違いが、株価とGDPの関係にも大きく影響します。要は日本はアメリカに比べて株主分配率が低かった訳です。

今、日本はデフレ脱却に真剣に取り組んでおり、実際に脱却できそうな期待が高まっています。株価の対GDP比は、先の安倍内閣時のように、100%程度まで戻るかも知れません。そうすると日経平均で1万6,000円程度です。もうひとつはこの株主分配率の向上。或る意味でのコーポレートガバナンスの改善と表現できるかも知れません。これらが推進されれば、日本の株価はもっと上がりやすくなるでしょう。
posted by ダンケルク at 15:06| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月18日

経営者のあるべき投資戦略の方向性を考える

 人件費、研究開発費、情報システム費の3つは、「先送りの3投資」と呼ぶらしい。業績が低迷すると、経営者はこの3つの投資を抑えて費用を減らし、利益を捻出しようとする傾向がある。赤字続きの会社が一時避難的に出費の蛇口を閉めるのはやむを得ないだろう。しかし、長く抑制すると、人員構成にひずみが生じたり、画期的な新技術や新商品が出なくなったり、システムに不具合が起きたりと、種々問題が生じる。
 これら3つの投資の始末が悪いところは、後の世代にツケが回ることである。問題が発生した時には、既に投資抑制を決めた経営陣は業績回復を花道に第一線を退いており、現役の経営陣が頭を抱えていることが多い。わが国には、このような目先の利益を追う経営者がなんと多いことであろうか。
いわゆる名経営者にはコストダウンにこだわる人が少なくないが、その一方で、コスト削減で得た利益を、長期にわたって研究開発や設備投資に振り向けている。
posted by ダンケルク at 12:41| Comment(0) | TrackBack(0) | キャリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月16日

SEリーダーに“他流試合”のススメ

参考になりそうな内容なので転載する。以下は日経コンピュータの大和田氏のセミナー案内の内容である。

 4月から新年度を迎え、新たなスタートを切ったSEも多いのではないか。新システムの開発プロジェクトにアサインされた、システム運用チームのマネジャーに就いた、保守チームのリーダーを任された、などである。

 初めてチームリーダーを担う人は、少なからず不安な気持ちがあるのではなかろうか。「果たして自分にチームをまとめることができるだろうか」「チームとしての総合力を高めるにはどうすればいいか」といったものである。

 一人前のリーダーになるには、どうすればよいのか。

 「リーダー自身が成長し続ける気持ちを持つことが何より大切だ。リーダーの成長なしに組織は成長できない。リーダーは組織全体の成長を左右する重責を担っていると言える」。東京海上日動システムズの社長である横塚裕志氏は、こう強調する。横塚氏はSE一筋40年の経験を基に、『日経コンピュータ』で連載『SEを鍛える 開講横塚塾』を執筆している。

 横塚氏は次のように続ける。「リーダー自身が変化を続け、過去にとらわれず思い切って常識を打ち破る。それがチームに活力を生み、チーム全体の成長につながる」。

 では、どうすれば変化を恐れず常識にとらわれない発想ができるようになるのか。

 「会社の中に閉じこもって目の前の仕事に日々没頭するだけでは難しい」と横塚氏は指摘する。日頃の組織の枠組みを越えて、社内のいろいろな組織の人と話し合う。会社の枠組みを越えて、同業他社のリーダーと交流する。あるいは、異業種の人たちが集まる場に積極的に顔を出し、自分をオープンにさらけ出して議論を交わす。こうした、日頃の組織の壁を越えたコミュニティー活動が有効だという。

 「“井の中の蛙、大海を知らず”ということわざの通り、目の前の業務に毎日専念していると、なかなか社外の世界を知る機会を得られないものだ。一歩外に出ると、世界が開けると同時に、自分の仕事が客観的に見えてくる。そうすれば常識にとらわれない発想がわいてくる」(横塚氏)。

 SEの発想力を磨くために、東京海上日動システムズでは、インフォーマルなコミュニティー活動に力を入れている。コミュニティーは、同じ興味や問題意識をもつメンバーが組織を越えて集い、対話を通じて交流を図ったり解決を目指したりする場だ。「ラーメン愛好会」「スポーツ観戦を楽しむ会」といった趣味に関係するもののほか、「あんずくらぶ」と呼ぶ異業種交流会、会議の運営方法を改
善する「出たくない会議コミュニティー」などがあるという。

 身近なところにそうしたコミュニティーがあれば、大いに活用したいものだ。だが、「社外の人と交流してみたいとは思うが、そうした機会がない」と、もどかしく思っている人もいるのではないか。

◇独りで悩まず、みんなで知恵を出し合おう

 そこで日経コンピュータは横塚氏の協力を得て、新任リーダーや未来のリーダー候補が会社や業種の垣根を越えて交流を図ることを目的とした「若手リーダーパワーアップセミナー」を企画した。横塚氏を講師に招き、次世代を担うリーダーに求められる考え方やスキル、リーダーシップの在り方などについて講演いただく。

 横塚氏の講演と並ぶ目玉は「演習」だ。チームビジョンの作り方、創造的なアイディアの発案法といった、リーダーが直面しやすい四つの課題に対して、参加者が解決策を考える。さらに課題や解決策などについて、参加者がその場でグループを組み、お互いに議論する。

 目的は正解を導出することだけではない。自立的に考え、他の人たちと議論することが大切だ。「SEは独りで悩まず、みんなで知恵を出し合おう」。横塚氏はこう呼びかける。「同じ悩みを抱えるSEが集まって、あれこれ議論することに意義がある。普段付き合いがない人たちとの交流は、SEにとって貴重な財産だ」。横塚氏が言うSEとは、システムの開発や運用に携わる人全体のことである。

 「仕事にしても趣味にしても、みんなで集まって活動すると、独りでやるより楽しいし、元気が出てくる。自分と似た悩みを持つSEがいることがわかれば、勇気がわく。同じ目標を持つ仲間が集まって活動するのは、大げさでなく快感である」(横塚氏)。次世代リーダーの“他流試合”の場としてセミナーを活用いただければ幸いである。

□◆日経コンピュータセミナーのご案内<5/21開催>
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ ▼【演習で学ぶ】次世代を担うSEのためのリーダー養成プログラム ▼
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 < 開講!横塚塾 > 〜4つのケーススタディから必須スキルを体得!〜
  1)チームビジョンの作り方   2)創造的なアイディアの発案・発掘法
  3)モチベーションマネジメント 4)トラブル対応策
  チームのまとめ方や、部下との接し方に悩む、という新任リーダー/リーダー
  候補を対象に「若手リーダーパワーアップセミナー」を開催いたします。
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 【日時】2012年 5月21日(月)13時00分〜18時00分 12時30分開場 (予定)
 【会場】日経BP社 本社ビル(東京・港区白金)【料金】18,000円(税込)
 【特典】1)新刊書籍「SEよ 大志を抱こう」2)日経コンピュータ13冊購読つき
 【詳細】 http://itpro-store.jp/snc120521/
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2012年03月11日

AIJより深刻な企業年金危機 〜あなたの年金に影を落とす3つの不安〜

以下は日経ビジネスの記事より。しかし、なんとかして欲しい体たらく。開いた口が塞がらない。

「『いい運用をしてるよ』って、ほかの厚生年金基金の事務局長さんに紹介されて会ったんだけどねぇ」
東京のある厚年基金の常務理事はその日のことをよく覚えている、と続けながら語り出した。

 昨年11月半ば。冷たい木枯らしが吹くある日、基金を訪ねてきたのは、約2000億円の運用資産のほとんどを消失させたとして今、社会問題になっているAIJ投資顧問の営業員2人だった。

 「アイティーエム証券」。AIJの関連会社だと紹介しながら50代とおぼしき2人が差し出した名刺を横目に常務理事は尋ねた。「それにしても凄い成績だねぇ」。245%、23%、35%。AIJが運用指図する3本のヘッジファンドの設定(それぞれ2002年、2005年、2007年)来のリターンがあまりに高かったからだ。

■怪しまれても「調査」なしだったAIJ
 営業員たちは言葉巧みに常務理事の質問をかわす。「日本国債の先物とオプション、それに日経平均の先物とオプションの売りを市場の動きを見ながら売る独自の運用手法で…」。

 デリバティブ(金融派生商品)の運用戦略をしゃべり続ける営業員に常務理事は黙り込む。その様子を見て2人はさらにまくし立てようとした。だが、常務理事が1つの質問を返したところで、今度は営業員側が言葉に詰まり始めた。

 「で、プライムブローカーはどこを使ってるの?」

 コールオプション(一定期間内に一定の価格で買う権利)やプットオプション(同じく売る権利)と呼ばれるデリバティブを日経平均株価が上げすぎたり下げすぎたと見るタイミングで売るというなら、そのオプションを調達する投資銀行はどこかと聞いたわけだ。この時、常務理事は、2人の顔に狼狽の色が浮かんだのを感じたという。

 この点景には、実は結構な意味がある。なぜ、少しつつけば分かりそうな「嘘」がいつまでも分からなかったのか、という背景の広がりである。

 まず1つ。市場関係者の間からは、今になってのように「AIJは、以前から怪しかった」という声が聞こえてくる。AIJの基幹ファンドは、リーマンショック後の2008年度を含め、10年間も一度もマイナス運用がなく、累積で245%もの超高利回りを上げたということに早くから疑念が広がっていたというのだ。だが、それならなぜ金融庁に知らせ、特別検査にならなかったのか。本気で疑っていなかったのではないか。

 当事者はさらに甘かった可能性もある。運用委託元の厚年基金に対して、彼らの年金資産が今、いくらの時価になっているかという情報は、AIJからだけでなく、実際の資金を預かる信託銀行も把握しているはず。そうなればAIJが嘘の時価情報を伝えても信託銀の数字と異なるから厚年基金も異変に気づかないはずはない。それなのに10年もの間、誰も気づかないとはどういうことか。

 AIJの運用スキームでは、信託銀は、AIJの指図に基づいてケイマン籍の私募投資信託を買う。この時、信託銀はアイティーエム証券を通じて買い付ける。そして、その買い付けた投信がオプションなどで運用するというのが仕組みと見られる。

 しかし、「(こうした資産は)事務処理のみを行う信託銀が機械的に管理している可能性がある」(大手証券会社の資本市場専門家)。

 そこでもし、アイティーエムのような証券会社が介在して「嘘の時価情報を、信託銀に流したりすればごまかせる可能性はある」とあるヘッジファンド関係者は推測する。有り体に言えば、日本の信託銀は時価情報を自ら収集し、運用資産の状況を把握していたかどうかに疑問があることになる。

 だが、こうした謎が追求されるに至らなかった一因には、前述の常務理事氏のように、超高利回りに疑問を抱くだけの金融知識のある人が、被害にあった中小の厚年基金には少ないせいもあるだろう。そうして騒ぎにならなければ、疑問はあっても本腰を入れて調べる関係者もない総ぐるみの“甘い管理”があったのではないかという2つ目の問題もそこに浮かぶ。

■必要な資産もない厚年基金が大半
 しかし、より大きな3つ目の問題は、厚年基金が遮二無二、高利回りを求めて動かなければならない状況に放置され、その状態がもう行き詰まってきたことだろう。

 厚年基金は、国の厚生年金の一部の運用を代行し、それに基金の資金を上乗せして投資資産を拡大することで、より大きなリターンを狙うのがその仕組み。

 ところが、IT(情報技術)バブル崩壊後の2000〜2002年度、そして米サブプライムローン(信用力のない個人向け住宅融資)問題からリーマンショックに至る金融危機に世界経済が直撃された2007〜2008年度に大幅な運用損を出し、年金財政は大打撃を受けた。

 2000〜2002年度の最初のショックでは、大企業を中心に代行運用部分を国に返上し、母体企業への業績への影響を回避しようとする動きが続出。代行返上した年金は、確定給付企業年金など新たな制度に移行し、残ったところの大半は中小企業が業界単位などで組織する厚年基金となった。

 しかも2度の運用危機を経て、これらの厚年基金には、将来の年金給付に備えて持っておくべき資産を割り込む基金が急増し、本来公的年金の一部である代行部分の資産すら割り込む基金さえ珍しくないほどの窮状となったのである。リーマンショック後の2008年度には約600の厚年基金のうち、8割が代行割れになったほどだ。

 厚生労働省の調べによれば、全体のうち81の基金は、代行部分の必要資産を3年連続して10%以上割り込んだまま。その割り込んだ部分は、運用で取り返せなければ、母体企業が特別掛け金を拠出するか、従業員の年金保険料を引き上げて埋めるほかない。

 だが、中小企業が大半となった厚年基金は、逆に運用の予定利率を5.5%と高く設定し、そこで稼ぐ形にすることで何とか企業と従業員の保険料を抑えてきたのが実態。多くの厚年基金にとって保険料を上げ、それで欠損部分を埋め合わせることは、相当な難事なのである。

 もちろん、5.5%の運用を達成することも極めて難しいから、代行割れ部分のような過去の不足分を埋めるどころか、毎年新たな不足が生じかねない有様となっている。

 この危機が、株式やヘッジファンドなど債券などに比べ相対的にリスクの高い資産への投資に、厚年基金を駆り立てる原因になっている。本来、 2000年以降の株式市場のように上下動の激しい時期には、安全資産を増やす必要があるが、厚年基金の場合は、高い運用利回りを達成するために逆に動かざるを得なくなっているとさえいえるのである。

■現実から乖離した運用計画の“罪”
 これだけではない。大和総研の菅野泰夫主任研究員によれば、日本の株式の期待リターン(インフレを加味したもの)は1971年12月以降の40年間(2011年8月まで。以下同)では年平均6.51%、1981年9月以降の30年間では同4.25%、1991年9月以降の20年間では同マイナス 1.37%になるという。

 しかし、信託銀や年金コンサルタントといった厚年基金などに運用商品を紹介したり、運用戦略を指南する側がしばしば用いるのは長期の期待リターン。「年金は超長期の運用だから」というのがその理由だが、結果として市場の現実とは離れたリスク資産への“傾斜”になった可能性はあるのではないか。

 AIJは、こうした複合的な問題の隙間に入り込み、長期間、関係者の目を欺き続けたのだろう。その背景となった現実は今も変わっていない。1つのAIJが消えても、別のAIJがまだ隠れているかもしれない。企業年金の危機は今も続いている。
posted by ダンケルク at 15:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

欧州では違法!グーグル新方針で混乱!

Googleが2012年3月1日付で、提供しているサービスにおけるプライバシーポリシーを変更した。キーマンズネットの概説によると以下のとおり。
これまでGoogleは、提供している各種サービスごとにユーザ情報を管理していた。それを簡潔にするため、1つのGoogleアカウントで複数の Googleサービスを利用したときに、そのユーザ情報を一括で管理することとした。これによって、たとえば検索キーワードの履歴をYouTubeの動画検索に反映させることができるようになったりする。
その反面、新プライバシーポリシーの元で収集される各種ログや各種情報が統合されることで、ユーザのネットでの活動が明確になり、嗜好の特定もかなり容易になる。Googleもその点を強調していて、ユーザ情報を一括管理することでよりシームレスなGoogleの各種サービスを提供するとともに、ユーザにより的確なターゲティング広告を提供する、みたいなことを言っている。
ポイントは、新ポリシーによって新たに収集されることになったユーザ情報はない、ということ。つまり、新ポリシーになったからといって、たとえば「今まで収集されていなかった○○情報が急に収集されるようになっちゃったよ!」というワケではない。ただ、いままではAサービスでは収集されていなかったけど Bサービスで収集されていたユーザ情報が、AサービスでもBサービスでも、果ては初めて利用するCサービスでも収集されることになるということ。
こんな新プライバシーポリシーに対して、嫌悪感を持つユーザが少なからずいるようで、ネットでは「脱Google」の動きも出てきている。またこの騒動を受け、アメリカでは米連邦議員が質問状を寄せたり、プライバシー擁護団体EPICが提訴したりといった事態になっている。日本でも、総務省と経済産業省がこの新ポリシーをもっとわかりやすく説明するよう要請している。
そして極めつけは、欧州委員会がこの新プライバシーポリシーは「EU法違反である」ということを表明してしまったのだ。この原稿をまとめている時点では、その結果EUにおけるGoogleの各種サービスがどうなるかは明確になっていない。
posted by ダンケルク at 15:51| Comment(0) | TrackBack(0) | セキュリティ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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