2008年4月〜9月のインターネットバンキング犯罪による被害発生件数は39件で、2007年度(2007年4月〜2008年3月)の232件と比較すると件数は減少傾向にある。一方、平均被害額は181万円となり、2007年度の81万円から増加している。
39件の被害のうち、金融機関が被害を補償するかどうかの処理方針が決定済みとなっているのは21件で、うち18件は被害金額の全額または一部を補償している。
同期間のその他の犯罪被害発生件数は、偽造キャッシュカード犯罪が276件、盗難キャッシュカード犯罪が2274件、盗難通帳犯罪が99件。平均被害額は、偽造キャッシュカード犯罪が75万円、盗難キャッシュカード犯罪が38万円、盗難通帳犯罪が167万円となっている。
ネットバンキングによる預金の不正引き出しは、具体的には、ネットバンキングのIDやパスワードを不正に入手して、口座から別の口座へと勝手に送金(振込)を行うというものだ。 ここで、疑問に思う人もいるだろう。預金者保護法があるのだから、仮に不正引き出しの被害に遭っても大丈夫なのでは?と。
2006年2月に施行された「偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律」(http://law.e-gov.go.jp/announce/H17HO094.html)、いわゆる預金者保護法では、偽造・盗難キャッシュカードによるATMでの不正引き出し被害が補償されるようになっている。被害者本人に「重大な過失」(たとえば、キャッシュカードに暗証番号を書いていたなど)がない限り、被害金額が全額補償される。
しかし、預金者保護法では、盗難通帳による窓口での不正引き出しや、ネットバンキングでの不正引き出し(不正アクセスによる送金)は対象外になっている。(http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/kurashi/0602/wadai.html)
ネットバンキングを利用している人は、預金者保護法に頼ることができないのだから、不正引き出しの被害に遭わないように、より一層の注意が必要となる。
ただ、ネット銀行によっては、独自の保険で対応しているところもある。たとえばジャパンネット銀行では、限度額はあるものの、ネットバンキングによる不正引き出しについても保険で補償している。(http://www.japannetbank.co.jp/regulation/agreements17.html)
預金者保護法は、2年後には見直されることになっているがどうなっただろう。盗難通帳による窓口での不正引き出しや、ネットバンキングでの不正引き出しについても議論されることだろう。ただ、そこでネットバンキングでの不正引き出しが補償の対象になるかどうかは、現時点では不明だ。 いずれにしろ、ネットバンキングのセキュリティーには注意したい。IDやパスワードを狙うスパイウエア対策も必須だ。「ネットバンキング利用者狙う進化形「キーロガー」――暗証番号管理は慎重に」、http://it.nikkei.co.jp/security/column/web_miyajima.aspx?n=MMITzt000018072006)なども参考にはなる。
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