2010年12月08日

日本初の金星探査機「あかつき」失敗に終わる!

日本初の金星探査機「あかつき」は5月に打ち上げられて以降、順調に飛行を続けてきが、最大の難関とされた軌道修正のための逆噴射で失敗した。逆噴射に使った初の国産エンジンをうまく動かせなかった原因は何か。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は調査・対策チームを設置、原因の解明に着手した。

 種子島宇宙センター(鹿児島県)から主力ロケット「H2A」で打ち上げられたあかつきは金星に向かうための予定軌道を正確に飛んでいた。打ち上げ直後に予定していた軌道修正の作業は不要となったほか、地球の画像を撮影する余裕ができるなど「航行は極めて順調だった」(宇宙航空研究開発機構)。しかし、1度しかチャンスのない逆噴射で失敗した。

 逆噴射に使ったのは世界初のセラミックを採用した主力エンジン。これまで海外製だったのを悲願の国産品に切り替えた矢先の出来事だった。今回の逆噴射の前に実施したテストでは正常に稼働していた。それが、逆噴射の途中にコマのように回る緊急状態の「セーフホールドモード」に何らかの原因で切り替わってしまった。

 セーフホールドモードは、太陽光パネルを太陽の方向に向けて電源を確保する動き。小惑星「イトカワ」から物質を持ち帰る世界初の成果をなし遂げた小惑星探査機「はやぶさ」も通信不能となった時、このモードに切り替わっており、その後復帰した経緯がある。宇宙機構にはこうした局面を打開する運用ノウハウがあったはずだが、あかつきの軌道は修正できなかった。

 宇宙機構は8日、宇宙科学研究所所長をトップとする調査・対策チームを設置。文部科学省の宇宙開発委員会も調査に乗り出す見通し。

 あかつきは現在、太陽の周りを回る軌道に入っており、2016年12月から17年1月ごろに再び金星に接近する。宇宙機構は電力消費を減らすなど機器の延命に努め、金星の軌道への再投入を目指す考えだ。
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2010年12月03日

異質な生命体発見、細菌が猛毒のヒ素食べて増殖?

米航空宇宙局などの研究グループは、生命の維持に不可欠な元素がなくても生きられるすごい生命体(細菌)を発見した。生命の必須元素の一つであるリンがない環境だと猛毒のヒ素を食べて体の一部を作る細菌で、米国の塩水湖に生息していた。既知の地球生物とは全く異質な生命体で、生物の常識を書き換える。リンのない天体でも生命の存在する可能性が考えられる。
米地質調査所、アリゾナ州立大学、ローレンス・リバモア国立研究所などの共同成果で、NASA宇宙生物学研究所のフェリッサ・ウルフ・サイモン博士らが、米カリフォルニア州のモノ湖で細菌を採取した。
細菌の大きさは0.001〜0.002ミリメートル。モノ湖は湖から流れ出す川がなく、塩分が海水の3倍に濃縮されているほか、アルカリ性が強く、猛毒のヒ素を豊富に含む。通常の生物ならば死んでしまう過酷な環境だが、この細菌はリンの代わりにヒ素を大量に食べて成長できることが分かった。
生物は必須元素を摂取して体を作り生きている。リンは炭素や酸素、窒素、水素、硫黄と並ぶ主要な必須元素の一つ。生物のたんぱく質や、生命の設計図であるDNA(デオキシリボ核酸)はリン酸と呼ぶ物質を必ず含み、これを持たない生物は存在しないと考えられている。
研究グループはこの細菌にリンの代わりにヒ素を与えながら培養したところ、DNAのリン酸がヒ素に置き換わり増殖した。リンの代わりに大量のヒ素を摂取して体を作れることが明らかになり、今回の細菌の発見は生物学の常識を破るものである。
また、原始の地球では一部にヒ素が多く存在したと考えられている。現在の生物の中にはヒ素だけを食べて生きる生物はいないが、新発見の細菌を詳しく調べれば、生命の進化について新たな知見が得られる可能性がある。モノ湖の周辺地域は隕石(いんせき)の落下によってできたとみられるクレーターが多いが、今回の細菌が地球外から飛来したと考える専門家はいまのところいない。ただ、これまで知られている地球の生物と全く異なる生命体が見つかったことにより、リンがないような極限環境の天体でも生きられる生命体が存在する可能性が増すとの見方がある。
ラベル:細菌 生命
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