これまでGoogleは、提供している各種サービスごとにユーザ情報を管理していた。それを簡潔にするため、1つのGoogleアカウントで複数の Googleサービスを利用したときに、そのユーザ情報を一括で管理することとした。これによって、たとえば検索キーワードの履歴をYouTubeの動画検索に反映させることができるようになったりする。
その反面、新プライバシーポリシーの元で収集される各種ログや各種情報が統合されることで、ユーザのネットでの活動が明確になり、嗜好の特定もかなり容易になる。Googleもその点を強調していて、ユーザ情報を一括管理することでよりシームレスなGoogleの各種サービスを提供するとともに、ユーザにより的確なターゲティング広告を提供する、みたいなことを言っている。
ポイントは、新ポリシーによって新たに収集されることになったユーザ情報はない、ということ。つまり、新ポリシーになったからといって、たとえば「今まで収集されていなかった○○情報が急に収集されるようになっちゃったよ!」というワケではない。ただ、いままではAサービスでは収集されていなかったけど Bサービスで収集されていたユーザ情報が、AサービスでもBサービスでも、果ては初めて利用するCサービスでも収集されることになるということ。
こんな新プライバシーポリシーに対して、嫌悪感を持つユーザが少なからずいるようで、ネットでは「脱Google」の動きも出てきている。またこの騒動を受け、アメリカでは米連邦議員が質問状を寄せたり、プライバシー擁護団体EPICが提訴したりといった事態になっている。日本でも、総務省と経済産業省がこの新ポリシーをもっとわかりやすく説明するよう要請している。
そして極めつけは、欧州委員会がこの新プライバシーポリシーは「EU法違反である」ということを表明してしまったのだ。この原稿をまとめている時点では、その結果EUにおけるGoogleの各種サービスがどうなるかは明確になっていない。
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