電力は「社会共通資本」と考えるべきである。今後は、需要と供給とをフィードバックし、それに応じて、ピーク時とそれ以外との価格差を大きくし、企業が電力の使い方を変えるくらいの価格政策が必要だろう。これを積極的に進める大枠の方針を国が速やかに打ち出すことが肝要だ。その上で、企業や家庭の節電などを考えるべきだ。
電力需要が1年で最も少ない時期である4月〜5月に横並びで節電しても効果は少ない。生活習慣を見直す意味では結構なことだ。しかし、本来は、夏と冬のピーク時対応をどうするのかの議論に集中すべきだ。そのためには需要と供給に関するきめ細かい情報公開が必要である。東電は他の電力会社に率先して積極的にデータを公開すべきだ。東電のテレビ広報を聞く限りでは十分な細かい情報を持っているのに公開していないように思える。秘密にする理由などほとんどないはずだ。
このままでは「サマータイムをやるべきだ」とか「衆議院議員会館のエレベータを1台しか動かさない」など、ほとんど意味のない議論や行動がはびこることになる。データを基に施策の効果を確かめ、意味のない案は排除しないと、愚案がはびこる結果になりかねない。それが結果として経済損失につながることを恐れるべきだ。
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